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タイプの呼び名(建築家・論理学者・擁護者)

建築家、論理学者、擁護者、領事 —— 四文字コードに付いている和名がどこから来たのか、なぜ同じコードに複数の呼び名があるのか、そしてなぜ呼び名は発見ではなく商品名なのか。

MBTIの体系

タイプの呼び名は、出版社が付けた商品名です。 四文字は質問紙から出てきたもので、そこにくっついている「建築家」「擁護者」「領事」という語は、そのページを書いた人が選んだものです。建築家という性格を誰かが測定したわけではありません。

日本語で検索すると、これは英語よりも見えにくくなっています。日本語圏の読者はほぼ全員が同じ一つのサイトから四文字を受け取っていて、そこでの和名がそのまま「タイプ名」として定着したからです。命名の系譜が一本しか見えていないと、それが命名だと気づけません。

知っておく価値があるのは個々の名前ではなく、名前に権威が無いという事実のほうです。二つのサイトが同じコードを違う名前で呼んでいるのを見つけたとき、何をすればいいか —— 何もしなくていい。すり合わせるべき対象が、そもそも存在していません。

同じ四文字に、和名がいくつある

英語圏には命名の系統が三つあります。16Personalities(NERIS)、ケアシー、PersonalityPage。三つは偶然に重なり、意図的に食い違います。

コード16PersonalitiesKeirseyPersonalityPage
ISFJDefenderProtectorNurturer
INTPLogicianArchitectThinker
INTJArchitectMastermindScientist
INFJAdvocateCounselorProtector
ENFPCampaignerChampionInspirer

Architect は、ケアシーでは INTP、16Personalities では INTJ です。 一つの語、二つの型。Protector はケアシーの ISFJ であり、PersonalityPage の INFJ でもあります。

日本語ではここに訳語の揺れが上乗せされます。16Personalities日本語版の公式名は ESFJ が「領事」ですが、日本語のまとめ記事では「領事官」と「領事館」が同じくらい流通しています。領事は人で、領事館は建物です。ENFP は公式が「運動家」で、旧称の「広報運動家」がいまも並走しています。

そして ケアシーの INTP=Architect を素直に訳せば「建築家」になるので、16Personalities が INTJ に与えた「建築家」と正面からぶつかります。 実際、日本語のまとめサイトには「INTP(建築家)」という見出しのページが存在します。英語圏で起きている Architect の衝突が、日本語では訳語を通ってもう一度起きている。日本語で「建築家タイプ」と書いてあるページを見たとき、それが INTJ の話か INTP の話かは、本文を読むまで確定しません。

なお、四文字コードを生んだ質問紙の作者であるイザベル・マイヤーズは、この作業をしていません。Gifts Differing はタイプを文章で記述していて、一語の称号を与えていない。呼び名は後から、本とウェブサイトを売る人たちによって足されました。スキャンダルではありません —— 文章はマグカップに印刷できない —— が、照合すべき原典のリストは存在しないということです。

日本語圏では入口が一本しかない

ここが英語圏と決定的に違う部分です。

英語圏の読者は、検索結果の中で複数の命名系統に当たります。ケアシーの本が図書館にあり、PersonalityPage が上位に出て、掲示板では両方の語彙が混ざる。日本語圏の読者は、ほぼ全員が 16Personalities 日本語版から四文字を受け取ります。 和名も、タイプ説明の口調も、A/T の付加記号も、一社から来ている。

もう一方の当事者である日本MBTI協会は、和名を使いません。 協会が扱う MBTI® は四文字と心理機能で記述され、認定ユーザーによる対面のフィードバックを通じて本人が「ベストフィットタイプ」を見つける手続きになっています。協会は 16Personalities について、質問も結果の出し方も MBTI とは別のものだと明言しています。詳しくは無料の性格診断を比べるのほうにまとめました。

この二つを並べると、日本語の状況が見えます。和名を持っているほうは測定の主張をしておらず、測定の手続きを持っているほうは和名を持っていない。 だから日本語で「タイプ名」と呼ばれているものは、事実上一社の商品名です。英語圏のように複数の系譜が拮抗していない分だけ、それが命名であることが見えにくい。

呼び名が読者にすること

名前は中立な包装ではありません。読む前に、記述の意味を変えてしまいます。

評価の符号を決めます。 指揮官、主人公、建築家は格好がよく、管理者と領事はそうでもない。同じ特性の一覧でも、「指揮官」と渡された読者は「管理者」と渡された読者より寛大に読みます。中身は動いていません。日本語ではこの効果がもう一段強く、漢語の称号は日本語の中で肩書きの語域に入るので、名詞そのものが職位のように響きます。

型を一つの絵に縮めます。 擁護者は忠誠を、領事は世話役を連想させます。どちらも、細部の記憶が強く、既知の人と安定した段取りを好むというパターンに付けられた札です。名詞を選んだ時点で、記述のどの三分の一が読者の記憶に残るかが決まっています。

得点を人格に変換します。 これが本当の代償で、境目の問題がここで効いてきます。呼び名の背後にある四つの文字は四つの得点から来ていて、その多くは尺度の真ん中の近くにあります。境目の近くの得点は「やや寄っている」ですが、名詞は「そういう人間」です。 統計の側はタイプ論の枠組みにあります。

ピッテンガーの総説は、コードそのものについて同じ趣旨の、もう少し狭い指摘をしています —— 四文字の出力は、連続的でそこそこ安定している測定を、固定した人種のように扱わせる。その上に名詞を載せることは、何が測られたのかを思い出しやすくはしません。

エニアグラムとDiSCでも同じことが起きています

MBTI だけの問題ではありません。

エニアグラムは同じ問題をより静かに抱えています。日本語で流通しているタイプ名 —— 改革する人、助ける人、達成する人 —— はリソ=ハドソン系の訳語で、別系統では完全主義者、与える人、遂行する人になります。タイプ9は一方では平和をもたらす人、他方では調停者。ところが「仲介者」は 16Personalities では INFP で、エニアグラムのタイプではありません。私たちのエニアグラム診断がリソ=ハドソンの名称を使っているのは、出版上の慣習に合わせた選択であって、研究上の知見ではありません。枠組みそのものの出自はエニアグラム(9つの性格)にあります。

DiSC の提供元は四文字に名前を付け、その組み合わせにも名前を付けます。組み合わせの名前は提供元ごとに固有なので、同じ人の二つの DiSC レポートが別の器具のように見えることがあります。日本語ではさらに、正規ライセンス品の DiSC® と、四文字だけ借りた無料の「DISC診断」が同じ名前で並んでいます。私たちのDiSCプロフィールが素の四文字に留まっているのはそのためで、経緯はDiSC(ディスク)に書きました。

色の体系は極端な例です。赤・青・緑・黄に合意された対応は存在せず、「赤の人」の意味はその部屋を研修した会社だけが決めています。

私たちが使っている名前と、それが推薦でない理由

私たちのタイプページは NERIS の和名を使っています。INTJ は建築家、INTP は論理学者、ISFJ は擁護者、残り十三も同じです。私たちが考えた名前ではないし、権利も持っていません。一社の語彙が検索量によってインターネットの既定値になったもので、採用の理由は平凡です —— 読者がすでに知っている語がそれだから。

これは正当な理由であり、同時に弱い理由でもあって、読者が自分で気づく前にこちら側から言っておくべき代償があります。日本語圏で最大のサイトと同じ名詞を使うということは、私たちのページがそのサイトの言い換えに見えるということで、枠組みごと相続するということでもあります —— 上に書いた「格好いい名詞」の問題を含めて。自分たちなら選ばなかった名前が、十六のうち二つあります。

つまり、タイプページの名詞は道案内のための札です。MBTI風タイプ診断がコードと並べて四つのパーセンテージを出しているのは、まさにコードと、その上の名詞が、出力のうち最も情報の少ない部分だからです。実際に測られた部分を読みたいなら、パーセンテージを見てください。そしてどちらを読むにせよ、先に自己報告式の質問紙に見えるものを読んでおくほうが役に立ちます。

呼び名について唯一やる価値があるのは、それを説明として使い始めた瞬間に気づくことです。「私は擁護者だから断れなかった」は、理由の位置に名前が立っている文です。その名前は1990年代にウェブサイトを作っていた人が選びました。理由のほうは別の場所にあり、その一文に心当たりがあるなら境界線(バウンダリー)のほうが役に立つページです。

出典

  • · Myers, I. B. (1980). Gifts Differing: Understanding Personality Type. Consulting Psychologists Press.
  • · Keirsey, D. (1998). Please Understand Me II: Temperament, Character, Intelligence. Prometheus Nemesis Book Company.
  • · Riso, D. R., Hudson, R. (1996). Personality Types: Using the Enneagram for Self-Discovery (rev. ed.). Houghton Mifflin.
  • · Pittenger, D. J. (2005). Cautionary comments regarding the Myers-Briggs Type Indicator. Consulting Psychology Journal: Practice and Research, 57(3), 210–221.

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