ある人といるとき、携帯はただの携帯です。別の人といるとき、まったく同じ十二時間の沈黙が一本の物語になります。同じ自分、同じ神経系、まるで違う二週間。
よくある説明は二つあって、どちらも途中で破綻します。落ち着いているほうは成長の証拠だという説明は、次の関係で崩れます。荒れたほうが本性を暴いたという説明は、落ち着いたほうを説明できません。
.90
親への愛着、一年あけた再検査相関
.50
同じ一年、同じ指標、相手が恋人の場合
388人
一年間、毎週測られた成人
30日
併行標本で毎日測定された期間
一年で、愛着はどれだけ動くのか
2011年、フレイリーらは珍しく手間のかかる二つの研究を走らせました。成人203人に一か月間、毎日その時点の愛着を報告させ、別の388人には一年間、毎週それをやらせています。愛着が固定した鋳型のように振る舞うのか、それとも絶えず書き換わるものなのかという長年の論争に決着をつけるためでした。
答えは両方で、しかも配分がはっきりしていました。下には安定した層があり、それは本物で、一年くらいでは崩れません。 そして特定の関係についての読みのほうは、どの関係を測るかで大きく揺れました。母親と父親への愛着の安定性は一年をまたいで .90 前後。同じ期間、同じ人たちの、恋人への愛着は .50 前後でした。
この差が主題のすべてです。同じ構成概念を名乗る二つの測定が、同じ人の同じ一年の中で、片方はほとんど動かず片方は大きく動く。恋人相手に測られているものは、特性のようには振る舞っていません。 ある条件のもとで取られた一回の読みのように振る舞っています。
「相性」という言葉が引き受けてしまっているもの
日本語でこの話をするとき、たいていの説明はここまで来る前に終わっています。相性、という言葉があるからです。
相性はよくできた言葉です。二人のあいだにだけ起きることを指していて、どちらか一方の欠陥にしない。責めない。そこは正確です。問題はその先で、相性は組み合わせを定数として扱います。 合う二人と合わない二人が最初から決まっていて、判明するだけ。血液型、星座、姓名判断、名前の画数。相性を扱う道具はどれも、判明させる道具の形をしています。測っている、のではなく、開示しているという建てつけです。
フレイリーのデータが引っかかるのはまさにそこです。動いたのは相手が違うときだけではありません。同じ相手との読みが、一年のあいだに動いています。 定数はそういう動き方をしません。
だから相性という語を捨てる必要はないと思います。捨てるべきなのは、相性が最初から決まっているという含みのほうです。相性を条件の束の名前として読み直すと、束の中身は数えられます。返信の速さの噛み合い方。片方が黙ったときにもう片方が何をするか。頼みごとにいくらかかるか。どれも変わりうるものです。
「気を使わなくていい相手」
英語の secure に対応する日常語を、日本語はすでに持っています。しかもそれは英語より正確です。
気を使わなくていい相手。 この言い方は感情ではなくコストを指しています。安心を「安らかな気持ち」としてではなく「支出がゼロである状態」として定義している。愛着の研究が測っているものにずっと近いのはこちらです。警戒の維持費、先回りの計算、言い方を三度書き直す時間。落ち着いた関係で下がっているのは気分ではなく、この支出です。
ただし同じ言い方が、そのまま罠も抱えています。気を使わなくていい状態は、何も求めていない状態と、外からも内からも見分けがつきません。 気疲れしない関係というのは、頼みごとが安い関係でもありうるし、頼みごとをとうにやめた関係でもありうる。後者は本人にはしばしば「丸くなった」と感じられます。
見分ける問いは一つだけです。最近、この人に何かを頼んだのはいつか。
| 何を指しているか | どれくらい安定か | 何が動かすか |
|---|---|---|
| 関係一般をまたいで測った傾向 | 年単位で中くらいに安定 | 長い関係、長い治療、大きな喪失 |
| 特定の相手についての読み | 一年のうちに相当動く | その人の一貫性、賭かっているもの、その週の状態 |
| 火曜の夜の状態 | 構造上、不安定 | 睡眠、直前の会話、返信が来たかどうか |
ネット上の記事のほとんどは一行目を書いていて、検索している人のほとんどは三行目を訊いています。
落ち着く関係で起きている、地味なこと
安心という状態を作っているものは、体験の大きさに比べてかなり平凡です。
相手が、どうでもいい場面で予測可能である。 大きな贈り物や記念日の演出はここには効きません。効くのは退屈なほうです。返信が見慣れた律動で返ってくる。予定が動かない。天気が説明なしに変わらない。予測可能性は系が読むために作られた入力で、しかも強度ではなく量で読まれます。
修復が早く、儀式ばっていない。 何かがこじれて、その晩のうちに触られる関係では、警戒が積み上がる時間そのものがありません。証拠が、立件より先に届くからです。修復が遅いか来ないかの関係では、同じ人が毎回ゼロから立件し直し、読みは下がっていきます。ここは喧嘩の翌日に何を言うかのほうで別に扱っています。
要求の値段が安い。 これに気づく人がいちばん少ない。ある関係では頼みごとはただの頼みごとです。別の関係ではそれが事件になり、何度か事件になったあと、頼みごとは発生しなくなります。内側からはそれが「こだわらなくなった」と読まれます。実際に起きているのは、訊くことが価格的に割に合わなくなって系が黙ったということです。
この読み替えが、悪用される二つの形
一つめは運命の物語です。この人とだけ落ち着けるという事実が、この人が唯一の相手である証拠に変換されます。平凡な条件が生んでいた状態が、静かに宿命の事実に格上げされる。 赤い糸は美しい比喩ですが、比喩が関係の耐荷重を引き受けはじめると重くなります。条件は再現できます。読みは、運命の証明ではありません。
二つめは逆向きです。安心がただの状態なら、荒れた関係は全面的に相手のせいで、自分の側に見るものは何もない、という読み。そういう場合も本当にあります。ただしフレイリーのデータの中の安定した層は実在していて、それがどれだけのあいまいさを吸収できるかを決めています。同じ関係の中で同じ遅い返信を受け取った二人が、同じ夜を過ごすわけではありません。
誠実な立場は両端のあいだにあって、どちらの端よりも歯切れが悪い。人と一緒に移動しているものがあり、関係が生んでいるものがある。そして後者のほうが、四つのラベルの語彙が示唆するよりずっと大きい。
変えられるのはどちらか
一般的な傾向のほうを動かす研究は、地味で遅いものばかりです。安定した関係に何年か、あるいは長い治療。どちらも仕組みは同じで、その予期が間違っていたという証拠を繰り返し受け取ることです。獲得された安定型愛着のほうに証拠を並べてあります。最初にこの語を出した研究群で、獲得安定型の人たちが連続安定型の人たちより抑うつ症状を多く報告していたという、この言葉が普通に売られるときには出てこない部分も含めて。
状態のほうは、もっと扱いやすい。その晩のうちに修復されるかどうか、頼みごとが安いかどうか、あいまいさのうちどれだけが確認されずに解釈されているか。別の人間になる必要はどこにもありません。 これは幸運です。別の人間になる時間尺度は数十年で、今週の時間尺度は今週だからです。
理論の側の全体像は愛着理論に、相手ごとに読みが変わるという同じ現象が職場で起きる版は職場の愛着にあります。
ある関係では落ち着いていて別の関係では落ち着かなかった人は、一貫性がなかったわけではありません。二度測られたのです。二つの違う部屋で、部屋の影響を受けないとは一度も主張していない道具で。
Sources
- Fraley, R. C., Vicary, A. M., Brumbaugh, C. C., Roisman, G. I. (2011). Patterns of stability in adult attachment: an empirical test of two models of continuity and change. Journal of Personality and Social Psychology, 101(5).
- Fleeson, W. (2001). Toward a structure- and process-integrated view of personality: traits as density distributions of states. Journal of Personality and Social Psychology, 80(6).
- Roisman, G. I., Padrón, E., Sroufe, L. A., Egeland, B. (2002). Earned-secure attachment status in retrospect and prospect. Child Development, 73(4).
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- Forer, B. R. (1949). The fallacy of personal validation: a classroom demonstration of gullibility. Journal of Abnormal and Social Psychology, 44(1).