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こころ2026年9月25日文 · Johnson

仕事は回っているのに、ずっとしんどい

このパターンは給料と昇進と高評価を受け取っているので、止まる合図がどこにもありません。十年続いて悪い日が一日もなかった問題に何が起きているのか、年一回のストレスチェックがどこで止まるのか、そして生産性より先に落ちるものはどれか。

たいていの問題は「出来事」を連れてやってきます。何かが抜ける、誰かが気づく、日付のついた悪い一週間がある。そしてその日付が、本人がようやく口に出す理由になります。

これには日付がありません。

納期は守られている。評価は良い。同僚は「落ち着いている人」と言う。かなり高くつく仕組みを回していることに対して、給料と昇進と感謝が支払われている。そして仕組みが成果を出し続けている間、止めろと言ってくるものは環境のどこにも現れません。

82.7%

仕事に強い不安・悩み・ストレスがあると答えた労働者、2023年

94.7%

そのストレスを相談できる相手がいると答えた割合

65.3%

年次有給休暇の取得率、付与16.9日に対して取得11.0日

883件

精神障害の労災支給決定、令和5年度、5年連続で過去最多

診断名ではありません。そこは正確に言っておきます

high-functioning anxiety という項目は、どの診断マニュアルにもありません。基準表もなく、妥当性の確認された尺度もなく、書類に書ける医師も存在しません。流行した説明であって、それを理由に相手にしない人がいます。

その切り捨てが間違っているのは、理由がはっきりしています。この言葉が広まったのは、臨床の語彙が苦手にしていることを名指したからです。診断の体系、そしてそれ以上にその上に載っている振り分けの仕組みは、目に見える機能障害に強く依存しています。仕事に支障があるか、学業に支障があるか、人間関係に支障があるか。三つとも正直に答えて「ない」になったとき、実在して高くつく問題には、登録される場所がありません。

日本語にはまだ定訳もありません。診断名でないどころか、言葉としても輸入途中です。だから日常の言い換えは「真面目すぎる」「気を遣いすぎる」あたりに落ち、そこに落ちた時点で、代償の話は会話から消えます。

二つとも同時に成り立ちます。この言葉は役に立つ。この言葉は診断ではない。症状として売っている人は何かを売っていますし、健康ビジネスの造語として振り払う人は、症状が実在していて記録が無傷な人に何が起きるのかを一度も考えていません。

ほかの不安はいずれ事故を起こします

パニックは会議中の発作を起こします。回避は、やらなかった仕事を残します。社交不安は、誰かが口にするほどの回数の欠席を残します。これらは最終的に会話を強制します。世界の側に、他人の目に見える証拠を残すからです。

これが残すのは業績の記録です。

職場での不安を一律に有害なものとして扱う研究は、だいぶ前に終わっています。Bonnie Cheng と Julie McCarthy が 2018 年に Journal of Applied Psychology に出した職場不安の理論は、不安が成果を落とすのではなく上げる条件を整理しています。動機づけと注意の狭まりを通して、それを扱う調整資源が本人にある場合に、という条件です。彼らの枠組みには暗い面と明るい面があり、ここで効いてくるのは明るい面のほうです。これは慰めではありません。パターンに資金が供給される仕組みそのものです。

組織は、圧力の下で成果を出す人を見つけてさらに圧力を渡すように作られています。良い評価、昇進、「この人なら安全だから」で回ってくる仕事。そのすべてが仕組みへの直接の入金です。報酬は本物で、だからこそこのパターンは疑うのに高い費用がかかります。入金されている仕組みには止まる理由がなく、誰かが見てみようと思う瞬間も訪れません。

これで、ひとつ不思議だったことが説明できます。

不安症の発症から最初の治療接触までの年数の中央値、米国成人、NCS-R
全般不安症9年
パニック症10年
広場恐怖症12年
PTSD12年
社交不安症16年
限局性恐怖症20年
分離不安症23年
  • 全般不安症: 9年
  • パニック症: 10年
  • 広場恐怖症: 12年
  • PTSD: 12年
  • 社交不安症: 16年
  • 限局性恐怖症: 20年
  • 分離不安症: 23年

Philip Wang らが 2005 年に National Comorbidity Survey Replication で出した中央値です。発症から、何らかの治療にはじめて接触した時点までを数えています。この図のいちばん短い棒が九年です。標本は米国で、数字は二十年前のもので、その後の調査でこれがゼロ近くまで動いたことはありません。

九年から二十三年というのは、受診のしやすさの問題だけではありません。病気の側に「言い出す理由を自力で作れ」と要求したときに起きることです。

三つの層があって、見えるのは一つだけ

この組み立てには形があり、形のほうがラベルより使えます。

層外から見えるもの実際に起きていること
エンジン早い着手、守られる納期、金曜には空のリスト必要よりはるかに早く始める。失敗する想像が居座って離れないから。空になったリストが出すのは満足ではなく安堵で、その安堵は毎回短くなる
仮面落ち着いている、できる人、頼れる人言うと決める前に出てくる「大丈夫です」。頼りにしていると言われたときの空洞。見抜かれたらどうなるかという静かな心配
請求書何もない下りない顎と肩、意見を持ち始めた胃腸、終わった一日を夜中にもう一度走らせること、休むと出てくる罪悪感、連休の初日に寝込むこと

真ん中の行が全体を支えています。高くつくのは不安そのものではありません。誰にも見えない不安であることです。その「誰にも」には、本人の主治医も入ります。

装置はもう法律で設置されています。止まるのは手を挙げるところ

ここは日本の話で、英語圏には書けません。2015 年から労働安全衛生法に基づいて、労働者 50 人以上の事業場では年一回のストレスチェックが義務になっています。つまりこの記事が「存在しない」と言っている選別装置を、国が制度として置いたということです。高ストレス者は実際に毎年洗い出されます。

次の一歩が本人の申出になっています。そして厚生労働省自身の資料によれば、高ストレス者のうち医師の面接指導を申し出る者の割合が 5% 未満にとどまる事業場が 76.8%、10% 以上に達している事業場は 10.3% しかありません。資料が挙げている理由も率直です。面接を受けることが、自分が高ストレス者であると事業者に明らかにすることになるから。

ここで、冒頭の 94.7% を思い出す価値があります。相談できる相手がいない人は 5% ほどしかいません。だから「話す相手がいないから言わない」は、少なくとも主要な説明ではありません。言わない理由は、言うべき出来事がまだ一つも起きていないことと、言うこと自体が記録になることです。

診察時間の側の数字も添えておくと、不安症を医師がどれだけ拾えるかについては Elena Olariu らが 2015 年に 24 件の研究と 34,902 人のプライマリケア患者をまとめていて、感度は 44.5%、尺度を使わない診断では 30.5% まで落ちます。有能そうに現れて、問題を軽い自己批判の語調で説明し、報告できる支障を持たない患者は、見落としにくい患者ではありません。いちばん見落としやすい患者です。

みんなが見ている警告灯が間違っています

不安の代償を国の規模で表すときの標準的な単位は、失われた生産性です。世界保健機関はうつと不安を合わせて年間 1 兆米ドルと見積もっていて、予算をつけさせたいときに出てくるのがこの数字です。

このパターンはその欄に何も計上しません。

これは会計上の些事ではありません。拾うために作られたあらゆる仕組みから、このパターンが見えない理由そのものです。成果はいちばん最後に落ちるので、成果を見張っていても、情報が役に立たなくなるまで何も教えてくれません。より早い合図は体にあり、仕事ではなく休息のまわりに集まっています。

労災認定の組み方もここに重なります。過労死等の認定は、出来事と時間外労働時間を軸に組まれています。令和5年度の精神障害の支給決定は 883 件で、請求は 3,575 件、五年連続で過去最多でした。重い数字ですが、数え方は「指差せる何か」を必要とします。パワハラがあった、事故を目撃した、業務内容が大きく変わった、時間数が線を越えた。何も越えないまま高い出力を十年続けている人は、この統計のどこにも現れません。

有休のほうも同じことを別の角度から言っています。2023 年の取得率は 65.3%、付与 16.9 日に対して取得 11.0 日で、1984 年以降でいちばん高い数字です。改善はしています。それでも三分の一は使われないまま残っていて、残り方はたいてい「取れなかった」ではなく「取らなかった」です。休むことに許可が必要な状態は、制度の不足ではなく、このパターンの症状として読めます。

頑張ることが人格の評価と地続きになっている言語圏では、ここがさらに固くなります。無理をしていると言うことが、怠けの申告に聞こえる。だから言わない。そして言わないことが、仮面の厚みとしてそのまま積まれていきます。

実際に数えられた身体の合図も二つあります。日中の歯ぎしりと食いしばり、つまり睡眠とは別の覚醒時ブラキシズムは、2023 年に Clinical Oral Investigations に載ったメタ分析で 17 件の研究をまとめて 15.44% という有病率になっていて、歯科的な要因よりも心理社会的な負荷と結びつきやすいのはこちらの型です。それから休みの初日に寝込むほうにも小さな文献があります。Ad Vingerhoets らが 2002 年にオランダの男性 1,128 人と女性 765 人を対象に leisure sickness を記述していて、週末や休暇の入りに決まって体調を崩すと答えた人が約 3% でした。予備的研究なので数字は緩く持つべきですが、名指した現象のほうはこのパターンでもっとも頻繁に語られる経験の一つで、偶然の逆です。圧力で保たれていた系が、圧力が消えた瞬間に手を離す。その手の離し方が、風邪として記録されます。

休むときの罪悪感は同じ一覧に並びます。そしてこれを症状と呼ぶことに、人はいちばん抵抗します。内側からは、怠けが正しく指摘された感じがするからです。違います。止まることが回復ではなく落ち着かなさを生むなら、休息は休息の仕事をしていません。週末に受け取っていると思っている回復は、届いていません。

仕事を大事に思うことと、仕事が怖いこと

ここまでの話に対していちばん多い反論は、それは真面目な人の描写であって真面目さは問題ではない、というものです。もっともです。そして区別は、きちんと引けるくらいにはっきりしています。

真面目さ
燃料としての不安
仕事が大事だから、ちゃんと仕上げる
仕事が失敗してはいけないから、早く着手する
終わったことが何かとして届く
終わったことは安堵として届き、その安堵は毎回短くなる
一日の終わりに手から下ろせる
止めるには交渉が必要で、交渉はだいたい負ける
何もない午後は、何もない午後
何もない午後は、急ぎの何かで埋めないといけない
休息は休息
休息は先に稼ぐもので、罪悪感を連れてくる

二つの列は同じカレンダーを作ります。それが十年気づかれない理由の全部であり、時間数で探しても見つからない理由でもあります。ワーカホリックとワークエンゲージメントの項目は同じことを逆から言っています。同じ土曜の夜に働いている二人を分けるのは量ではなく強迫性で、損害を予測するのは強迫性のほうです。

隣人であって双子ではありません

完全主義、人に合わせること、失敗への恥。この三つはこのパターンとよく一緒にされます。四つ全部を持っている人がやることも多いです。重なりは大きいです。同じものではなく、同じ扱い方で動くものでもないので、一緒にしてしまうのは無害ではありません。

パターン恐れが何に向いているか見分け
完全主義基準そのものと、届かなかったことが作品について何を語るか止まらない修正。いつまでも仕上がらない
人に合わせること相手の反応と、失望させたときの代価誰も見ない作業では圧が消える
失敗への恥失敗したと見られること。起きたあとの話いちばん鳴るのは事後、反芻のなか
燃料としての不安うまくいかないこと。常に、起きる前からいちばん鳴るのは事前で、終わっても誇りではなく安堵が来る

誰かに相談するなら、ラベルではなく真ん中と右の列から具体を持っていくことです。カレンダーの上では区別できない四つが、一週間の記述では別物に見えます。

最初の反論を越える一文

機能している人は、助けを求めることを説得されて諦めます。短い診察でそうなることもあり、それよりずっと多いのは、行く途中で自分に説得されることです。そして説得してくる議論はいつも同じです。何も起きていない。もっと必要な人がいる。

終わり方は坂ではなく段差

力尽きるときの一般的な像は、ゆるやかな下降です。能力がじわじわ落ちていって、周りの人に気づく時間がある。

臨床の文献はもっと奇妙で、もっと具体的なことを言っています。スウェーデンには 2005 年からこれに対応する診断があり、疲弊症と呼ばれていて、十分な回復のない六か月以上のストレス曝露を要件にしています。Elin Lindsäter らが 2022 年に BJPsych Open でこの診断の研究を概観していて、そこにまとめられている質的研究が描いているのは、体が身体症状と睡眠の乱れで繰り返し注意を要求してくる長い始まりの時期と、具合が悪いまま働き続け日常を回し続ける本人の姿です。そのあとに崩れます。

つまり悪化は段階的です。そして悪化は、その全期間にわたって、誰も見ていない場所でだけ進みます。段階的でないのは見える側で、こちらは保たれ続け、保つことが練習されている技能なので保たれ続け、そしてある朝、その日の最初のふつうの作業が持ち上がりません。

同じ概観のもう一つの所見のほうが、腰を落として読む価値があります。診断から七年から十年後の追跡時点で、87% は休職していませんでした。一方で三分の一ほどはまだ臨床的に疲弊していて、半分近くが疲労を、73% がストレス耐性の低下を報告していました。職場に戻ることと回復することは別の出来事です。請求書は、満額で届いたあと、誰の見積もりよりも長い期間で清算されます。

これは不安を煽る話ではありません。地味なほうの結論に向かう話です。報告できることがまだ何もない時点で、医師か心理職に持っていく価値がある。それは誰も行かない条件であり、同時に、いちばん安く済む条件です。

悪い日を一度も作らなかった問題は、代償のない問題ではありません。記録に残らないように、とてもうまく処理されてきた問題です。

Sources

Frequently asked questions

放っておけば治りますか

きっかけのあるものは収まります。重い四半期、合わない上司、何かを支えていた数か月。原因が終われば落ち着きます。年単位で走っているものが自然に収まることはあまりありません。理由は意志の弱さではなく構造で、毎週のように成果という形で強化されているので、設定を変えろと押してくるものが環境の側に一つもないからです。年で数えられる長さになっているなら、何か意図的なことが起きるまで続くものとして扱うほうが実際に合っています。

受診しても「でもちゃんとできていますよね」で終わりそうです

終わらせないために持っていくのは、ラベルではなく行動と時間です。締切の前の一週間が実際どうなっているか、何日前に手をつけ始めてその直前の数時間に何が起きているか、一日の終わりに止めるのに何が必要か、体に何がいつから出ているか、休んだあとに何が残るか。短い診察で使えるのは具体的な報告だけで、「高機能不安だと思います」は医師が診療に使えない情報です。四つか五つ書いて持っていくのがいちばん効きます。その場での本人の反射は、必ず少なめに言うほうに働くからです。

基準を下げれば解決しますか

しません。そしてその助言は、この点数帯の人が相談をやめる大きな理由でもあります。そもそも下げられません。問題は基準の高さではなく、基準を支えているものです。同じ品質の仕事は、それを大事だと思っている人からも、失敗することが怖い人からも出てきます。利息がつくのは後者だけです。基準を恐怖から別のものに載せ替える作業は遅く、そしてそれが心理療法が本当に得意な領域です。「気楽にいこう」よりはこのほうが正確な答えです。

女性のほうが多いのですか

有病率の数字はありません。数える基準がないものに疫学は成立しないので、割合を出している人はそれを作っています。確立しているのは、診断された不安症が女性で男性の約二倍多いことです。ここで書いているような組み立てがその分布に従うのか、それとも努力を言葉にすることが女性のほうが社会的に許されているために報告が偏るのかは、わかっていません。

検査の点数は低かったのに説明は全部当たっていました

説明のほうを信じてください。この種のチェックは、当のパターンが「気づかないようにする訓練」をしてきたものを自己申告させる作りになっていて、いちばん影響を受けるのが「他人から見えているか」の側面です。自分の内側の正確な記述を読んで、その項目に平均以下をつけるのは、矛盾ではなく既知の外れ方です。総合の帯ではなく三本のバーを別々に見て、体に関する項目には特別に重みをつけてください。体はこのパターンのなかで唯一、説明の上手さを考慮に入れない部分です。

上司に言うべきですか

その上司が負荷の側なのか、負荷を調整できる側なのかで変わります。そして二つの判断を分けておく価値があります。見えない状態をやめるために誰か一人に言うことには価値があり、それは職場の人である必要がありません。会社に伝えるのは別の計算で、具体的な職場と具体的な保護の話になります。使える形は告白ではなく要求で、締切、業務量、返信の速さについての名指しの変更一つです。診断のない漠然とした不調の開示は、何かを支払って何も買わない形になりがちです。

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