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嫉妬

何かが起きて感じる嫉妬と、何も起きていないのに回り続ける嫉妬。同じに見えて、必要な対応は正反対です。

関係の科学

嫉妬の研究には、日常会話にはない区別があります。この項目で最も使えるのはそこです。

反応的な嫉妬は、実際に何かが起きたことへの反応です。猜疑的な嫉妬は、出来事がなくても回り、曖昧なものから自分で材料を作り出します。

中から見ると、この二つはほとんど同じです。それでも必要な対応は正反対です。反応的な嫉妬は情報で、扱えば片がつく。猜疑的な嫉妬はループで、一つひとつの疑いに答えるほど太ります。

「やきもち」と「嫉妬」と「束縛」のあいだ

日本語はこの感情を、強さの違う一本の軸ではなく、性格の違う三つの語に割っています。なぜ話しにくいのかは、ここを見るとわかります。

やきもちは軽い。可愛いものとして扱えるので、口に出しても関係が壊れません。嫉妬は重い。使った瞬間に、自分の狭さを申告したような感じが出ます。そして束縛は、感情ではなく行動の名前で、ほぼ一方的に非難される側に置かれています。この三つの上に、重いという社会的な判定が乗ります。

問題はここです。無視できないほど強いが、まだ束縛ではない範囲に、ちょうどいい言葉がありません。 起きることは二つに片寄ります。「やきもちだけどさ」と前置きして本題を薄めるか、言わずに溜めて、溜めた分が確認行動として出るか。

英語圏でよく議論されるのは「嫉妬は愛情の証拠か」という向きですが、日本語圏でより強く効いているのは逆向きの圧力です。重いと思われたくないので、言えば一度で済む反応的な嫉妬まで飲み込む。 飲み込んだものは消えず、あとでまとめて出てきて、そのときには言い方も選べません。

二つの見分け方

違いは四つあります。

きっかけ。 反応的なほうには、事情を知らない人に説明しても「それは何かあったね」と言われる出来事があります。猜疑的なほうは、無いことで起動します。返信が遅い、画面を伏せた、理由を言わずに機嫌がいい。

何で収まるか。 反応的な嫉妬は、その件を扱えば収まり、収まったままになります。猜疑的な嫉妬は、説明を受けると短いあいだ楽になり、同じ形で戻ってきます。

何をさせるか。 反応的な嫉妬は会話に向かわせます。猜疑的な嫉妬は確認に向かわせます —— 端末、位置情報、会ったこともない相手の投稿。

相手が変わっても続くか。 反応的な嫉妬は関係ごとに違います。猜疑的な嫉妬は人について回ります。これが、いま目の前の相手の問題ではないという最もはっきりした証拠です。

バレルズらの研究では、この二つは関係の質との相関がまったく違いました。反応的な嫉妬はおおむね中立で、時に正の方向にも出ます。猜疑的な嫉妬は、本人にとっても相手にとっても関係の質の低下を予測しました。嫉妬を感じること自体が問題なのではありません。

猜疑的な嫉妬の下にあるもの

たいていは、いまの関係の中にはありません。

不安型の愛着は、この分野で最も一貫した予測因子です。仕組みは単純で、相手の応答は当てにならないという前提があると監視が増え、監視は材料を生みます。曖昧なものはどこにでもあり、警戒した読み方は必ず何かを見つけるからです。

次に、関係に限定された自己評価。この相手との関係では自分は取り替えがきくという感覚があるかどうかで、同じ出来事の重さが変わります。仕事では堂々としている人が恋愛でだけ崩れるのは珍しくありません。

そして過去の裏切り。一度は正確だった予測が残っている状態です。丁寧に分けると、根拠のある警戒を、何もしていない相手に適用しているということで、二つとも事実ですが、いまのパートナーについての事実はそのうち片方だけです。

もう一つ、目立たないのに効くもの。猜疑的な嫉妬が育つのは、たいてい一人でいる時間です。反芻は中立な出来事を数分で完成した物語に変え、あとから思い出すときには、それが推測だったのか見たことだったのか区別がつかなくなります。

それぞれに効くこと

反応的な嫉妬 —— 一度だけ、観察として言う。 「さっき電話に出に行ったとき、ちょっと引っかかった。黙っておくより言っておきたい」。これは答えられる形です。たいてい一回の会話で終わりますし、我慢しても小さくはなりません。

猜疑的な嫉妬 —— 確認をやめて、感覚のほうに耐える。 直感に反しますが、強迫的な行動全般で有効なのと同じです。感情を抑え込むのでも、従うのでもなく、確認という行動だけをしない。確認するたびに得られる安心は短くなっていき、同時に「この感覚は緊急事態だ」と自分に教えてしまいます。

効くことが二つ。安心を要求したときにではなく、あらかじめ決まった形で受け取れるようにすること —— 連絡を増やすのではなく、予測できる連絡にすること。そして関係の外に十分な生活を持つこと。距離を取れという話に聞こえますが、近づくことを耐えられるようにするのはこちらです。

言われる側へ。 確認に付き合うと悪化し、黙って離れても悪化します。効くのは、一貫していること、自分では言うまでもないと思っている当たり前を口に出すこと、そして個別の確認だけを穏やかに断ることです。「それにはもう答えない。答えることが助けになっていないと思うから」。

束縛と呼ばれるところから先

ここまでは、二人のあいだで扱える範囲の話です。境目は感情の強さではありません。相手の生活が減っているかどうかです。

連絡の頻度が指定される、会う相手が制限される、服装や予定に許可がいる、位置情報の共有が条件になる、端末を見せることが前提になる。「心配だから」「好きだから」と説明されることが多く、本人もそう信じていることがあります。説明の内容ではなく、結果として何が減ったかで見るほうが間違いません。

これが続いていて、断ると不機嫌や脅しや長時間の問い詰めが返ってくるなら、もう嫉妬の話ではありません。しんどい関係の記述と重なります。

一人で判断しなくて構いません。DV相談+(0120-279-889) は24時間対応の全国線で、何が起きているのかまだ整理できていない段階でもかまいません。身の危険がある場合は迷わず110番です。

最後に一つ、はっきり言っておきます。嫉妬は愛情の証拠ではなく、嫉妬がないことは無関心の証拠でもありません。 この等式は両方向に持ち出されますが、支えているものは何もありません。嫉妬が示すのは、何かを大事に思っていて、それが危ういと感じていることだけです。危ういかどうかは別の問いで、答えを出す価値があるのはそちらです。自分の警戒がどこから来ているかを見たいなら、信頼のパターンから入るのがいちばん早い。

出典

  • · Buunk, B. P. (1997). Personality, birth order and attachment styles as related to various types of jealousy. Personality and Individual Differences.
  • · Rydell, R. J., Bringle, R. G. (2007). Differentiating reactive and suspicious jealousy. Social Behavior and Personality.
  • · Barelds, D. P. H., Barelds-Dijkstra, P. (2007). Relations between different types of jealousy and self and partner perceptions of relationship quality. Clinical Psychology & Psychotherapy.
  • · Mikulincer, M., Shaver, P. R. (2016). Attachment in Adulthood, 2nd ed.

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