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相性(診断が測れていないもの)

関係の幸福を何が予測するかについて行われた最大の研究は、二人のあいだの適合を探して、見つけられませんでした。代わりに見つかったもの、そして「相性」という日本語をどう置き直すか。

関係の科学

相性とは、日本語では「二人のあいだにあって、合うか合わないかがすでに決まっている性質」を指す語です。この定義は私が意地悪に書いたのではなく、語の使い方がそう言っています ——「相性を見る」「相性が悪い」。見るものであって、作るものではない。

関係の市場で最も自信のある考え方が、これです。二人には性質があり、性質は合うか合わないかで、十分に良い道具があればその適合を計算して数字で返せるはずだ。

その数字を見つけようとして行われた史上最大の試みは、見つけられませんでした。

この項は書きにくい項目です。このサイトはカップル向けの検査を売っているからです。それでも証拠が読めるとおりに書きます。結論は次の節の最後にあるものと同じです ——入手できる最良の証拠のもとでは、二人のあいだの適合は、どちらがどれだけ幸福になるかをほとんど予測しない。予測するのは、それぞれが自分のいる関係についてすでに認識している内容のほうです。

「相性」という日本語が、最初から抱えているもの

英語の compatibility は、もとは技術の語です。部品と部品、規格と規格。日本語の「相性」は出自が違います。 陰陽五行や占術の語彙で、生まれのほうに書き込まれているものを見るための語でした。日常語になったいまも、その構造は残っています。

構造がどこに残っているかは、文法を見るといちばん早い。

  • 「相性が良い」「相性が悪い」 —— 言います。
  • 「相性が合う」「相性を見る」「相性を占う」 —— 言います。
  • 「相性が育つ」「相性を作る」「相性が先月より良くなった」 —— ほとんど言いません。

日本語には、相性が時間とともに変わるという言い方の受け皿がありません。 これは語感の話ではなく、この語で考えているあいだ、変化という選択肢が文の形として出てこないということです。英語話者は "we've gotten better at each other" と言えますが、日本語話者は同じ内容を言うのに「相性」を捨てて別の語に乗り換える必要がある。

そしてこの語の運命論がいちばん具体的に見える場所が、日本語圏にはもう一つあります。血液型です。 A型とB型は合わない、という話法は、雑誌にも職場の雑談にも、そして採用や配属の判断にまで入り込んできました。縄田健悟は2014年に、日本と米国の大規模な社会調査データを使ってこの関連を正面から検討し、血液型と性格特性のあいだに意味のある関連は認められないと報告しています。標本の大きさの点で、これは「まだ調べ足りない」で逃げられる種類の結果ではありません。

血液型相性を持ち出したのは、それを信じている人を笑うためではありません。構造がまったく同じだからです。 生まれのときに決まっている → 二人の組み合わせに固有の性質がある → だから合う/合わないは発見の対象である。この形をしている主張は、血液型に限らず、調べられるたびに同じ結果になってきました。

いちばん大きな研究が、見つけられなかったもの

2020年、サマンサ・ジョエルとポール・イーストウィック、そして他84名の研究者が、この領域が一度もできなかったことをやりました。生データを持ち寄ったのです。 29の研究室から43の縦断データセット、11,196組。測定されている全変数に等しく競争の機会を与えたうえで、ランダムフォレストをかけました。この手法であることには具体的な理由があり、論文自身が書いています ——ランダムフォレストは交互作用を検出します。 そして「適合の効果」とは交互作用そのものです。あなたの特性 × 相手の特性。もし相性がこのデータの中に頑健な形で存在していたなら、この解析はそれを見つけるために作られていました。

見つかったものを、順番に。

  • 自分がこの関係をどう見ているかが、自分の満足度の最大45%を予測した。 効いた項目は、相手がどれだけコミットしていると感じているか、感謝されていると感じているか、性的な満足、相手が満足していると思うか、そして対立。どれもこの関係についての認識で、どれも間違えうるものです。
  • 個人差が21%を予測した。 生活満足度、ネガティブ感情、抑うつ、愛着の回避、愛着の不安。実在する大きさで、そしてこれらは一人の人間の性質であって、二人組の性質ではありません。
  • 相手自身の回答は、自分の回答の2〜4分の1しか予測しなかった。
  • そしてこれが所見です —— 本人の関係についての回答の上に、個人差と相手の回答を足しても、予測はまったく改善しませんでした。 著者たちは含意を直接書いています。個人差による調整効果も、相手の回答による調整効果も、おそらくかなり小さい。相手の特性による調整 —— それがまさに「相性」の意味です。 正しい手法で、史上最大の標本で探されて、有用な大きさでは存在しませんでした。

もう一つ結果があり、これがカテゴリを終わらせるべきものです。関係の質の「変化」 —— 誰の関係が良くなり、誰の関係が悪くなったか —— は、これらの変数のどの組み合わせからもほとんど予測できませんでした。 弱く予測できた、ではありません。ほとんど予測できなかった、です。

つまり、二人の適合がこれを決めているのではなく、最初に互いのすべてを知っていたとしてもそれは変わりません。 道具の精度の問題ではない。百を超える変数、一万一千組、二十九の研究室の努力が返してきた答えが、これです。

もっと前からあった傍証

ジョエルらの結果は、何も無いところから出てきたわけではありません。同じ方向を指す所見が三つ先にあって、当時、マッチ率を売っている側からは全部無視されていました。

マッチングのアルゴリズムが効くと示されたことは、一度もない。 フィンケルらが2012年に行ったオンラインデートの総説は、主張を体系的に点検して、どのマッチングアルゴリズムも偶然より良い結果を生むという説得力のある証拠は無いと結論しています。アルゴリズムは非公開で、検証研究は独立していない。そして根本にある課題 ——会う前の二つの質問票から関係を予測する —— は、後により良い手法でもう一度失敗した、その課題です。日本語圏の結婚相談所や婚活サービスが提示する「相性」も、同じ課題を同じ材料で解こうとしています。

類似は、見かけほど働かない。 モントーヤらは313の研究をメタ分析しました。実際の類似は、まだ相互作用していない段階では魅力を強く予測し、短い会話の後では弱くなり、すでに成立している関係の中ではまったく予測しませんでした。 一方、認識された類似はどの段階でも予測しました。つまり、似ていると感じることが仕事をしていて、似ているという事実のほうはほとんどしていない。 そして「感じ」のほうは、好き合っている二人によって後から部分的に作られます。

特定の二人のあいだの魅力ですら、予測できない。 2017年、ジョエル、イーストウィック、フィンケルはスピードデーティングのデータを使って、両者が事前に報告した全情報から「誰が誰に惹かれるか」を予測しようとしました。ある人がどれくらい他人を好きになりやすいかと、ある人がどれくらい好かれやすいかは予測できました。この人とあの人という特定の組み合わせは、まったく予測できませんでした。 そしてこれは相性の問いのうちいちばん簡単な版です。四年後に幸福かどうかではなく、木曜に二回目が成立するかどうか、それだけなのに。

それでもこの考えが生き延びる理由

良い物語だからです。そして、本当である二つのことが燃料を供給し続けているからです。

似た人どうしは、実際に一緒になる。 これは事実で、そしてその仕事をしているのはたいてい相性ではありません。誰が同じ部屋にいたかです。学校、職場、地域、条件で絞り込むアプリ、自分に似た友人。カップルの中の類似は、かなりの部分がその二人が引かれてきた母集団についての事実です。

本当に成立しないものは、ある。 証拠が言っているのは、ふつうの範囲のカップルの中では適合が幸福をほとんど予測しないということであって、何も問題にならないということではありません。子どもを持ちたいと持ちたくないは、相性のスコアではなく非適合です。 どれだけ関係の技術があっても溶けません。同じ種類のものが日本の生活にはいくつかあり、しかも恋愛の段階では議論されにくいという共通点を持っています。

  • 子どもを持つかどうか。 数ではなく、持つか持たないか。
  • 親との同居、そして介護をどう分担するか。 将来の話に見えて、実際には役割の期待についていま合意していないという現在の話です。
  • 転勤についていくかどうか。 誰のキャリアが従属変数になるのか。
  • お金の管理をどうするか。 お金と安心の項のとおり、ここで揉めているのはたいてい金額ではありません。
  • 一対一の関係を前提とするかどうか。

これらは短い一覧で、答えが二択に近く、そしてパーセンテージはまさにこれらに対して間違った道具です。 四十項目で良い点数が出ても、この一つを覆せません。悪い点数が出ても、この一つを作り出すことはできません。

そして、証拠とは関係のない理由が一つ。相性のスコアは、人が本当に聞きたい問いに答えてしまう ——「もう不確かでなくなっていいですか」。 この引力のほうは、この項のどの所見よりも関係の強迫(恋愛OCD)の項がうまく説明しています。数字はそれを一日ほど解決します。

カップル向けの検査に、それでも残る仕事

ここが証拠との接触に耐える部分で、しかもジョエルの結果を迂回するのではなくそこから直接出てきます。

最も強い予測子は、相手の認識されたコミットメントと、相手の認識された満足度でした。実際のコミットメントではない。実際の満足度でもない。相手がどれだけ本気で、どれだけ幸せだと、あなたが思っているか。 その隙間 ——相手が実際に思っていることと、あなたが相手について思っていることのあいだの隙間 —— は、実在して、測れて、動きます。 そしてそれは、この文献で最大の効果の上に乗っています。

互いが実際に何と答えたかを、互いに見せる道具は、その隙間に直接働きかけています。適合を採点するのとは別の仕事で、そして証拠があるのはこちらのほうです。

カップル相性診断がパーセンテージを出さないのは、この理由からです。二人のあいだの具体的なパターン ——誰が追いかけて誰が引くか、修復がどう起きるか・どこで失敗するか、境界線がどこにあるか —— を写して、互いに相手の回答を渡します。 自分たちが属しているカテゴリが証拠の支えていないものの上に建っている、と正直に言うほうが、後で弁護しなければならない数字を出すよりましだと考えています。

どのカップル検査にもできないこと(うちのものを含めて): 一緒にいるべきかどうかを教えること。この先良くなるか悪くなるかを予測すること。そして三十年の研究が検出できなかった相性を、突き止めること。結果は、まだしていなかった会話として扱ってください。 そして、介入は結果ではなく会話のほうだということに気づいてください。

相性を、天から今週に下ろす

ここまでを日本語の語のほうに戻します。「相性」という語が間違っているのではありません。置き場所が間違っています。

人が相性と呼んでいる実感 ——一緒にいて楽だ、話が早い、揉めてもすぐ戻る —— は、実在します。 作り話ではない。ただしそれは二人の生まれのあいだにある固定の係数ではなく、積み上がった行動の残高です。感謝が声に出されてきたか。こじれたあと、修復が実際に成立してきたか。相手が本気だとどれだけ思えているか。これらは全部、今週やったことの関数です。 そして今週やらなければ減ります。

同じ作業を、このサイトは別の領域で一度やっています。日本語圏で「三歳までで決まる」という言い方が長く残ったこと、そしてそれが初期設定を最終設定と取り違えていることについては、愛着スタイルは変わるのかの項が扱いました。相性の運命論は、同じ誤りを二人組に対してやっているだけです。 出発点が効くのは本当で、出発点が終着点だというのが嘘の部分。

そこで、以上から二つのことが出てきます。向きは、わざと反対です。

低い点数は、別れる理由になりません。 計算された不一致があなたの将来について何かを予測するという証拠はなく、予測できないという証拠のほうがかなりあります。許可を探しているなら、数字はそれを出せる立場にありません。

高い点数は、とどまる理由になりません。 こちらのほうが危険です。関係の質問票で良い結果が出たことは、あなたが大事に扱われているかどうかとは何の関係もありません。 そして人は、安心させてくれる点数を、すでに知っていることから目を逸らすために実際に使います。自分の家で何が起きているかについてのあなた自身の記述より上位に立つものは、この文献の中に一つもありません。 残高を増やす側の仕組みは対立と修復関係のスタイルにあります。

そして、これがそもそも適合の問題ではなくなる場所。怖さがある、行動を管理されている、自分を知っている人たちから引き離されている、見たことを繰り返し疑わされる。 そこでは相性という枠組みは何も当てはまらず、この項は関係するページではありません。有害な関係のほうです。配偶者暴力相談支援センターの全国線として、DV相談+ 0120-279-889(24時間)があります。

出典

  • · Joel, S., Eastwick, P. W., Allison, C. J., et al. (2020). Machine learning uncovers the most robust self-report predictors of relationship quality across 43 longitudinal couples studies. Proceedings of the National Academy of Sciences.
  • · Finkel, E. J., Eastwick, P. W., Karney, B. R., Reis, H. T., Sprecher, S. (2012). Online dating: a critical analysis from the perspective of psychological science. Psychological Science in the Public Interest.
  • · Joel, S., Eastwick, P. W., Finkel, E. J. (2017). Is romantic desire predictable? Machine learning applied to initial romantic attraction. Psychological Science.
  • · Montoya, R. M., Horton, R. S., Kirchner, J. (2008). Is actual similarity necessary for attraction? A meta-analysis of actual and perceived similarity. Journal of Social and Personal Relationships.
  • · 縄田健悟 (2014). 血液型と性格の無関連性 —— 日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠. 心理学研究, 85(2).

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