この問いは、たいてい答えが職業名だと想定して立てられます。看護師、アナリスト、デザイナー、起業。そこで止まるのは、どの職業名の中にも六種類くらいの違う仕事が入っていて、自分がどれをやることになるのか外からは分からないからです。答えが先に決まるのは、名前ではなく動作のほうです。
だいたい何が起きているか
聞こえのよさで選んでいる。 名前の挙がる職業は評判で選ばれていて、評判はその職業の一日について何も語りません。医療も、技術職も、中を開ければ別々の仕事の束です。効いてくるのは分野への憧れではなく、動作への引力です。
複数できてしまって、順位が付かない。 何もないより、これのほうがずっと多い。足りないのは選択肢ではなく、同点を割るものです。割るのはたいてい価値観のほうで、安定が要るのか、自分の裁量が要るのか、意味が要るのか、伸びが要るのかで結論が変わります。同じ技能を持つ二人が別の職場を選ぶべきなのは、ここが違うからです。
やりたいことは分かっているが、職業名の形をしていない。 壊れたものを直す。人がつらいときにそばにいる。何もないところから形をつくる。どれも職業になりますが、対応する求人票の名前は誰も教えてくれません。
一度きりの決断だと思っている。 一生を決める人はほとんどいません。多くの職業人生には三つか四つの別の仕事が入っていて、最初の仕事の役割は二つめが何であるべきかを教えることです。決めるのは次の数年で、それはずっと小さい問いです。
今夜できること
- 直近で時間を忘れた三回を書く。 趣味でなくて構いません。作業で十分です。そのとき何をしていたかを一語の動詞にする。その動詞が答えの大半です。
- 「聞こえがいいから」考えた選択肢に線を引く。 残ったリストは短く、正直になります。
- 一生ではなく次の三年を決める。 「次の三年で、自分が何を望むのかを最もよく教えてくれる仕事は何か」には答えがあります。「天職は何か」にはありません。
日本で、この結果が掛かる先
英語圏の記事は「すでに何年か働いた人が職種を選び直す」場面を前提にしています。日本語の読者の多くは、それより前にいます。職務ではなく所属が先に決まる採用のもとでは、興味の検査が掛かる先は「どの職種に就くか」ではなく、「どの会社を受けるか」と「配属希望に何を書くか」までです。この位置関係は職業興味の項が制度の側から詳しく扱っているので、ここでは実務だけ書きます。
実務はひとつです。会社を比べる質問を、職務を比べる質問に置き換えること。 面接で訊けるのは「御社の強みは」ではなく、「入って一年目の人は、一週間のうち何にいちばん時間を使っていますか」です。後者には具体的な答えが返ってきます。返ってこないなら、それも情報です。
もうひとつ。二十代前半で低く出た領域を「向いていない証拠」として消さないこと。見たことのない仕事を好きになれる人はいません。低得点は、嫌いだったのか、一度も触っていないのかを分けてから読むものです。
何によって変わるか
六つの領域 —— 研究的、芸術的、社会的、現実的、企業的、慣習的 —— は、キャリア心理学が1950年代から使ってきた枠組みで、いまも持ちこたえています。自分の興味の型と仕事が合っている人は、離職が遅く、満足度も高い。ほとんどの人は一つか二つに強く引かれていて、それを測ったことがないだけです。
三十六問でその形が出ます。出たあとにやることは、職業名を探すことではなく、その動詞が一日の何割を占める職場かを訊ねることです。「憧れを追え」という助言がなぜ空振りしやすいかは別の項にあります。