この問いには独特の手触りがあります。訊いてくるのは、だいたいうまくやれている人です。評価はそこそこ、給料もそこそこ、事故も起きていない。そして日曜の夕方の感じが、翌週についてのものではなく、この先の十年についてのものに変わっている。うまくやれていること自体が、答えにくさの原因です。 指さす対象がないからです。
だいたい何が起きているか
種類が違うのに、できるようになってしまった。 人はたいていのことに習熟でき、習熟は報われ、報酬はその場に留まらせます。ですが引力のほう —— 調べる、つくる、助ける、組み立てる —— は、別のことが得意になったからといって消えません。待っています。仕事より熱中できる趣味として現れたり、いつも自分から手を挙げる一部分として現れたりします。
分野は合っていて、役割が違う。 同じ業界の別の椅子。教える側に回るべき人、現場に戻るべき人、打ち合わせではなく一人で作業に向かうべき人。分析の単位として「業界」は粗すぎます。 正しい単位は一日の動作です。
二十五歳のときは合っていて、いまは二十五歳ではない。 興味は比較的安定していますが、価値観はそこまで安定していません。成長を軸に選んだ仕事は、必要なものが安定に変わると合わなくなります。何も壊れていません。自分が変わって、仕事が変わらなかっただけです。
疲れていて、疲れが「違う」に見えている。 燃え尽きは、仕事のすべてが問題だという非常に説得力のある感覚をつくります。そうであることもありますが、多くは「この二年の、この速度の、この場所の」仕事の話で、休んだあとの自分ならこの職業をもう一度選びます。
今夜できること
- 分野と一日を分ける。 今日やったことを時間ごとに書き出し、残したい時間に印をつける。残したいのが誰もやりたがらない仕事なら、職業は合っていて役割が違います。
- いつも自分から引き受ける部分を書く。 それが引力です。その作業で大半ができている仕事が、どこかに存在します。
- 週末も灰色なら、これは職業の問いではありません。 十年について決める前に、ひと月休んでください。
日本では、異動がいちばん安い実験になる
英語圏の記事がここで勧めるのは転職です。日本の読者にとって、より安い実験が先にあります。社内の異動と公募です。
理由は制度の側にあります。職務ではなく所属で採用されている雇用では、会社を変えずに職務を変える経路が最初から用意されている。転職と違って賃金が下がる確率が低く、実績の説明もいりません。しかも試すことのできる幅は、外から見えているよりずっと広い。
数字の側も、この順序を支持します。転職で賃金が上がったのは40.5%で、下がったのが29.4%、変わらないのが28.4%。半分以上は上がっていない。 分野ごと変えたいという判断が正しいことは当然ありますが、それを確かめる前にできることが社内に残っているなら、先にそちらを使い切るほうが安い。いま持っている仕事の一部を組み替えることについてはジョブ・クラフティングの項が方法を扱っています。
そして三年以内離職率の業種差 —— 宿泊・飲食サービス業55.4%に対し、全体は33.8% —— が言っているのは、「向いていない」と感じている人の一部は、職業ではなく労働条件を感じているということです。そこは適性の問題ではありません。
何によって変わるか
気の重さが、仕事の種類の話なのか、役割の話なのか、人生の段階の話なのか、疲れの話なのかは、日曜の夕方の内側からは判別できません。職業興味の検査は一つめに答えます —— 引かれている仕事の種類を名指しして、いまの仕事がそこからどれだけ離れているかを見せます。価値観の検査は三つめに答えます。二つ合わせると、漠然とした重さが具体的な差分になります。仕事と自分の同一視が強すぎるときに何が起きるかは仕事と自己像の項にあります。