同じ経歴の二人が、まったく違う面接をします。差はたいてい自信ではなく、粒度です。片方は分類で話します —— 協調性、几帳面、理念への共感。九十分後、面接官の手元には何も残りません。もう片方は出来事で話します。固有名詞と、数と、うまくいかなかった一点。面接官は報告会でその話をそのまま再現できます。
日本の面接では、型のほうが先に来る
自己PR、学生時代に力を入れたこと、志望動機、退職理由。日本の面接には枠がすでにあります。 英語圏の記事が教える「形容詞ではなく出来事で」は、この枠のおかげで半分は制度化されています。問題は逆側で起きます。枠に沿えているのに、中身が空になる。
空になる典型は三つです。
(1) 数が一つも入っていない。 「業務改善に取り組みました」は二十分の短縮かもしれず、二人分の工数かもしれない。おおよそでも数を入れると、主張が測定に変わります。多くの人はこの数を持っていて、調べたことがないだけです。
(2) 苦労した箇所が消えている。 成功だけで構成された話は、若いか、隠しているかのどちらかに聞こえます。制約と、危なかった点と、そこで何を変えたかが入って初めて、その場に本当にいた人の話になります。
(3) 退職理由が、恨みか無味かのどちらかになっている。 中途の面接では必ず訊かれます。前職の悪口は次の職場での再現を疑われ、「キャリアアップのため」は何も言っていません。効くのは設計の言葉です —— ここでは手に入らないと分かったものを一つ挙げ、御社のどの条件がそれに当たるかを言う。 辞める理由を一文で言えることが、そのまま面接の答えになります。
面接の前にやること
- 実際にやったことを五つ選び、それぞれに数をつける。 期間、人数、金額、削減率、件数。どれか一つで足ります。
- 各話に「危なかった点」を一つ足す。 何が足りず、どう判断したか。ここが無い話は覚えられません。
- 辞めた理由を一文にする。 苦情の箇条書きではなく、手に入らなかったものを一つ。
- 自分の働き方を三十秒で説明できるようにする。 構造が要るのか、裁量が要るのか、考えるのが口頭なのか手元なのか。これは仕事の型の検査で言葉にできます。ここを言えると、配属の話が現実的になります。
何によって変わるか
面接で無理をして通ってしまうと、合っていない席に着きます。だから、自分の方法を正確に言うことは誠実さの話であると同時に、自己防衛でもあります。 静かな時間が要る人が「どんな環境でも大丈夫です」と言えば、そうでない環境に置かれます。
仕事の型を先に言葉にしておくと、面接は自分を売り込む場から、両側が条件を確かめる場に変わります。そのうえで、実績を語ることが自慢に感じられて手が止まる人は、別の問題を先に片付けたほうが早い場合があります。