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職業興味

興味検査が測るもの、興味が適性ではない理由、一致と満足の実際の大きさ、そして新卒一括採用の下でこの結果をどう読むか。

性格の科学

職業興味とは、ある種類の活動に対する安定した好みのことです。職種名への好みでも、結果への好みでもありません。頭がいいと言われることではなく、問題を解いている時間のほうを選ぶ。修理の対価ではなく、機械が直ることのほうを選ぶ。興味検査は応用心理学で最も古くから生き残っている道具で、日本では労働政策研究・研修機構が日本版をつくった VPI職業興味検査(160の職業名への興味に答える、18歳以上向け)と、中学・高校向けの 職業レディネス・テスト(VRT) が代表です。どちらも下敷きは、ジョン・ホランドが1959年に示し、その後四十年かけて改訂し続けた六つの型です。

そして、この分野の結果は最も一貫して読み過ぎられます。方向もいつも同じです。研究的が90パーセンタイルと出た人は、それを「自分は分析的な頭を持っている」と読む。検査はそうは言っていません。火曜日を顧客ではなく問題に使いたい、と言っただけです。

興味は注意の予測であって、能力の予測ではありません。 ここから先は全部この一行の系です。

六つの文字と、その下にある二つの軸

ホランドのモデルは、人と職場環境の両方を同じ六つ —— 現実的(R)、研究的(I)、芸術的(A)、社会的(S)、企業的(E)、慣習的(C)—— に分けます。すでにやりたいことを環境が報酬にしてくれるとき人は満足する、という主張です。ほとんどの人は一文字ではなく上位二つか三つで記述され、これが「ホランド・コード」と呼ばれます。六タイプを職種の例つきで一通り見たい場合はホランドのRIASECモデルで最初の仕事を選ぶがそれをやっているので、ここでは繰り返しません。

足す価値があるのは構造の話です。六つが六角形に並ぶのは、隣の型どうしのほうが向かいの型どうしより相関が高いからで、プレディガーは1982年に、その六角形は実質 二つの軸 —— もの対ひと、データ対アイデア —— で説明できると示しました。現実的と社会的が向かい合うのは、片方の端がもので、もう片方がひとだからです。

この対応は日本の道具の中にも見えています。職業レディネス・テストは六領域への興味と自信に加えて、基礎的志向性として対情報・対人・対物の三方向を報告します。名前は違いますが、測っている方向はプレディガーが六角形の下に見つけたものとほぼ重なります。

実務的な含意はこうです。二つの軸は頑健で、隣り合う文字どうしの細かい差は頑健ではありません。 IRA と出たか RIA と出たかに三段落を費やす報告書は、持っていない精度を使っています。

興味と「向いている」は別のこと

このカテゴリ全体がこの区別に乗っていて、そしてこの区別は、業界の宣伝文句が最初に消すものです。「あなたの強みが分かります」のほうが「飽きずに続けられることが分かります」より売れるからです。

興味検査が訊くのは、それをやってみたいかどうかです。行動をサンプリングしません。出来を採点しません。誰かの成績と比べません。好きなのに下手だ、という事実を検出できる項目は一つも入っていません。 アマチュアで楽器をやったことのある人なら全員知っていることです。

証拠もこの切り分けを支持しています。アッカーマンとヘゲスタッドが1997年に知能・性格・興味の重なりを整理したところ、同じ領域の興味と能力は正の関係にはあるものの、片方からもう片方を読み取れるほどではありませんでした。平均としては連れ立って動くが、交換できるほどではない。つまり、特に才能のない仕事に惹かれる人が相当数いて、得意なのに退屈だと感じている人も相当数いる。どちらも大きなサンプルには必ず現れます。測定の誤差ではありません。

では興味が予測するものは何かというと、ナイらが2012年に六十年分の研究をまとめて出した値が .2 前後です。実在して、再現もされ、そして適性の得点として読むには遠く足りない。効き方も隠れていません。興味は努力と持続を経由して成績に効きます。 興味がある人は時間を多く入れ、辞めるのが遅く、研修が終わってからも学び続ける。だからこそ、能力の測定の代わりにはならないのです。

高く出た文字の正直な読み方は、ここに注意が無料で向かう、です。それが上手かどうかは別の問いで、答えはやってみた実績のほうにあります。

新卒一括採用が、この結果の読み方を変える

ここからが、英語版には対応する節がない部分です。

英語圏の記事はたいてい「すでに何年か働いた人が職種を選び直す」場面を前提にしています。日本語の読者の多くは別の時点にいます。ローゼンバウムと苅谷が1989年に記述したとおり、日本の学校から仕事への移行は学校と企業の長期的な結びつきを通じて制度化されていて、応募と採用の時期も揃えられています。結果として、職業を選ぶという行為が、職業経験のほぼ無い時点に置かれます。

ずれはもう一つあります。濱口桂一郎が「メンバーシップ型」と呼んだとおり、日本の正社員採用で先に決まるのは職務ではなく所属です。職務は入ってから配属で決まる。だから新卒の読者にとって、六文字が掛かる先は「どの仕事に就くか」ではなく、せいぜい「どの会社を受けるか」と「希望をどう書くか」までです。まだ選べない対象について出た結果を読んでいる、という位置関係をまず押さえたほうがいい。

この二つが重なると、具体的な副作用が出ます。見たことのない仕事には興味を持てません。スーらが2009年に、もの対ひとの軸に個人差研究で最大級の性差が出ると報告していますが、五十万人規模でその大きさが出るものが全部気質だというのは無理があり、少なくとも半分は「何を手に取る機会があったか」の記録です。工具を渡されたことがない人の現実的が低いのは、配線ではなく子ども時代についての事実です。日本の新卒の場面では、これが 六領域のうち三つか四つは一度も経験していない状態で答えている という形で効きます。

だから、この時点で結果を使うなら、消去ではなく 保留 として使うのが正確です。高く出た領域は、これから確かめる価値がある方向。低く出た領域は、嫌いだったのか見たことがないだけなのかを先に分ける方向。二十代前半の低得点を「向いていない証拠」として扱うのは、この検査の設計が支えていない使い方です。

相性が良いと、実際どれくらい良いのか

興味検査に付いてくる約束は、一致 —— 自分に合う環境にいること —— が満足を生む、というものです。生みます。問題は大きさです。

ツァバリ、ツィナー、メイアの2005年のメタ分析で、一致と満足の相関はおよそ .16〜.17。ホフらが2020年に105研究・約四万人・六十五年分を洗い直しても、同じあたりに落ち着きました。仕事の満足を確かに、そして控えめに予測する。しかも日々の業務への満足より、職業選択そのものへの満足に対して強い。

平たく言えば、合っている仕事は満足しやすさをいくらか上げますが、満足を決めている主要因ではありません。上司、業務量、通勤、周囲と比べた給与、裁量がどれだけ設計されているか —— 同じ分散を奪い合う相手は多く、そのうちいくつかは興味より強い。

一つめの所見の中に、二つめが入っています。一致は「好きかどうか」より「続けるかどうか」をよく予測します。 合っていない仕事にいる人は、専攻も職も分野も変える率が高い。厚生労働省が毎年公表している新規学卒就職者の離職状況では、大卒でおよそ三割が三年以内に離職しています。この三割の全部が不一致だという意味ではありません。ただ、三年分の訓練を投じる価値があるかを決めたいとき、答えの出る問いは「これで幸せになれるか」ではなく「三年後も自分はこれをやっているか」のほうで、後者はこの道具が最も得意な問いです。

コードの使い方と、残る留保

二つ足すと、興味の結果は普段より使えるものになります。

時期については信じてよい。 ロウらが2005年に縦断研究を整理したところ、職業興味は心理学が測るもののうちかなり安定した部類でした。十代後半に急速に固まり、二十二歳前後から先はほとんど動かない。これは両方向に効きます。十五歳のプロフィールは見た目より弱い手がかりで、二十五歳のプロフィールは多くの人が思うより長持ちする。つまり、合っていない仕事の居心地の悪さは、待っていても解消しにくいということです。

構造については割り引く。 ラウンズとトレーシーが1996年に多数の国際サンプルで RIASEC の構造を比べたところ、六角形の円順序はアメリカのデータに最もよく当てはまり、他の地域では当てはまりが落ちました。六つの区分は特定の時期の特定の労働市場から出てきたもので、仕事の組み立て方が違えば型と型の距離も変わります。日本版の VPI と VRT は日本で標準化されていますが、六角形そのものが日本で同じ形をしているかどうかは、受ける側が持っておいてよい留保です。 上に並べたメタ分析も、サンプルの大半は英語圏です。

その上で、コードは答えではなくふるいとして使うのが正しい。大きな領域を入れるか外すかには強く、二つの内定のどちらを取るかには弱い。自分の読みが欲しければ、キャリア興味診断は六次元をパーセンタイルで出し、職種名を返す代わりに性格の結果の隣に並べます。この種の道具が持ってよい確信の量としては、それが正しい量です。その数字自体の読み方はパーセンタイルと基準にあります。

そして最後に、検査が測っていない二つに突き合わせてください。しばらく下手なままでいてもいいと思える対象は何か。そして、その仕事に何を買ってほしいのか —— こちらは仕事の価値観で、別の問いで、別の答えが出ます。

出典

  • · Holland, J. L. (1997). Making Vocational Choices: A Theory of Vocational Personalities and Work Environments (3rd ed.). Psychological Assessment Resources.
  • · Prediger, D. J. (1982). Dimensions underlying Holland's hexagon: missing link between interests and occupations. Journal of Vocational Behavior.
  • · Low, K. S. D., Yoon, M., Roberts, B. W., Rounds, J. (2005). The stability of vocational interests from early adolescence to middle adulthood: a quantitative review of longitudinal studies. Psychological Bulletin.
  • · Nye, C. D., Su, R., Rounds, J., Drasgow, F. (2012). Vocational interests and performance: a quantitative summary of over 60 years of research. Perspectives on Psychological Science.
  • · Hoff, K. A., Song, Q. C., Wee, C. J. M., Phan, W. M. J., Rounds, J. (2020). Interest fit and job satisfaction: a systematic review and meta-analysis. Journal of Vocational Behavior.
  • · Tsabari, O., Tziner, A., Meir, E. I. (2005). Updated meta-analysis on the relationship between congruence and satisfaction. Journal of Career Assessment.
  • · Rounds, J., Tracey, T. J. G. (1996). Cross-cultural structural equivalence of RIASEC models and measures. Journal of Counseling Psychology.
  • · Su, R., Rounds, J., Armstrong, P. I. (2009). Men and things, women and people: a meta-analysis of sex differences in interests. Psychological Bulletin.
  • · Ackerman, P. L., Heggestad, E. D. (1997). Intelligence, personality, and interests: evidence for overlapping traits. Psychological Bulletin.
  • · 労働政策研究・研修機構『VPI職業興味検査[第3版]』日本文化科学社.
  • · 労働政策研究・研修機構『職業レディネス・テスト[第3版]』雇用問題研究会.
  • · Rosenbaum, J. E., Kariya, T. (1989). From high school to work: market and institutional mechanisms in Japan. American Journal of Sociology.
  • · 濱口桂一郎 (2021)『ジョブ型雇用社会とは何か —— 正社員体制の矛盾と転機』岩波新書.
  • · 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」.

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