ビッグファイブ · OCEAN

五つの特性を、ひとつずつ

ビッグファイブは、学術心理学が実際に使っているモデルです。五つの型ではなく五つの次元。それぞれが、落ちる箱ではなく、自分がどこかに位置する連続した尺度です。日本語では五因子モデル、主要五因子性格、ビッグファイブと複数の呼び名で流通していますが、指しているものは同じ五つです。

OCEAN は英語での語呂合わせです。Openness(開放性)、Conscientiousness(誠実性)、Extraversion(外向性)、Agreeableness(協調性)、Neuroticism(神経症傾向)。これらの特性は誰かが設計したものではありません。人を描写するために各言語が使う語を統計的に分析した結果として落ちてきたもので、名前が妙なのも、再現性が異例に高いのも、そのためです。日本語の訳語は一つに揃っていません。C は誠実性・勤勉性・統制性、O は開放性・経験への開放性・知性、N は神経症傾向・情緒不安定性。日本語版の尺度ごと、教科書ごとに違う語が当てられているので、別のサイトで別の名前を見ても、因子そのものが違うわけではありません。

ビッグファイブの結果の読み方

つまずきどころが三つあります。スコアは規準集団に対するパーセンタイルなので、「70は高いのか」の答えは、誰と比べられたかに完全に依存します。日本語の読者にはもう一段あって、規準が英語圏のサンプルで取られたものなら、日本の回答はそこに当てられています。日本語話者は中間の選択肢を選びやすいという指摘もあるので、国をまたいだ平均の比較は慎重に扱うのが妥当です。次に、どの尺度にも良い端・悪い端はありません。どの特性も両極に代償があり、だから以下のページは高いほうと低いほうを並べて記述し、片方を既定として扱っていません。そして真ん中こそ、たいていの人がいる場所です。50パーセンタイル付近のスコアは本物の結果であって、判定不能ではありません。

もう一つ。特性は動きます。誠実性と協調性はほぼ誰でも加齢とともに上がり、開放性は下がり、神経症傾向は五つのうち、状況にも心理療法にもいちばんよく応答します。五年前の結果は、もはや完全には存在しない人物を記述しています。

ビッグファイブと MBTI・16タイプ

日本語で「性格診断」と言えば、まず十六タイプのことです。研究者がほぼビッグファイブしか使わないのに、検索の入口はあちら側にある。この落差には答えがあって、二つのモデルは違う問いに答えている、というのがその答えです。十六タイプは人を分類に振り分け、ビッグファイブは五つの連続した尺度の上に置きます。十六タイプで境目を一問ぶん越えればタイプが変わり、ビッグファイブで真ん中を一問ぶん越えればパーセンタイルが一つ動く。

それが実質的な違いであり、学術心理学がほぼビッグファイブしか使わない理由です。連続量は再検査でより安定し、境目で切った分類はそうではありません。もう一つ、日本で「十六タイプ診断を受けた」という場合、それはたいてい公式の MBTI 検査ではなく無料のウェブ版です。あの結果についた -A / -T という接尾辞は、五因子の神経症傾向にあたる軸で、四文字のほうには元々無いものです。つまり、あれを受け取った人はすでに五因子の一部を見ています。

正直な立場はこうです。どちらも好みを測る自己報告式の道具であり、どちらも何かを診断するものではなく、そして研究の裏づけがあるのはビッグファイブのほうです。十六タイプの語彙は日本語圏で共有言語として成立していて、それ自体に用はあります。ただ、それは予測妥当性とは別種の価値です。

The sixteen MBTI types →