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国際結婚と人種をまたぐ関係

「国際結婚」が切っているのは国籍で、人種ではありません。研究が見つけた負荷はどこから来て、日本では何がその形を取るのか。

関係の科学

人種や民族をまたぐ関係とは、出自の異なる二人の関係のことです。日本語でこれに最も近い通行語は国際結婚ですが、この二つは同じものを切っていません。国際結婚が切っているのは国籍です。

ずれは両方向に出ます。日本国籍どうしでも出自をまたぐ組み合わせ —— 在日コリアンの家庭と、そうでない家庭 —— は国際結婚に入りません。逆に、日本人と韓国人、日本人と中国人の結婚は国際結婚の多数派ですが、英語圏の interracial が想定している見た目の差はそこにない。同じ話題のつもりで英語の記事を読むと、自分の状況が半分しか書かれていないのはこのためです。

数はどう動いたか

人口動態統計では、夫婦の一方が外国籍である婚姻は2006年に4万組を超えてピークに達し、婚姻全体のおよそ6%に達しました。その後は減少し、近年は2万組前後、全体の3〜4%程度で推移しています。二十組に一組を切る規模で、増え続けているわけではありません。

組み合わせにははっきりした非対称があります。歴史的には夫が日本人・妻が外国籍の組が多数を占め、相手国は中国、フィリピン、韓国・朝鮮が中心でした。逆向きの組は数が少なく、相手国の分布も違います。ここは英語圏の議論が扱わない部分で、「国際結婚」という一語の中に、実際にはかなり違う経験が詰まっていることを意味します。地方の農村部で行われた仲介を伴う結婚と、都市部で職場で出会った二人とでは、同じ統計の同じ行に入っていても、直面するものが違います。

日本では、負荷がまず役所の形をしている

英語圏の記事がこの話題で挙げる負荷は、視線、親族、周囲の反応です。日本ではその前に、制度そのものが負荷として立っています。

外国籍の配偶者が日本に住むには在留資格が要ります。「日本人の配偶者等」という資格は、関係が続いていることを前提に更新されるもので、更新のたびに二人の関係を書類で説明することになる。交際の経緯、同居の実態、写真、収入。偽装結婚の審査は必要な制度ですが、その審査を受ける側は、自分の関係が疑われる前提で説明する経験を何年も繰り返します。

婚姻そのものの手続きも軽くありません。相手国の婚姻要件具備証明書、翻訳、本国側の届出、名前の表記の問題。この負荷は、ほぼ必ず外国籍の側に偏ります。 そして日本人の側は、その偏りにたいてい気づいていない。

これは後で出てくる研究の所見と正確につながります。日本版の「不均等な負荷」は、視線の話である前に、書類と窓口の話です。

研究がわかっていること — 米国のデータです

先に範囲を書いておきます。この話題で引用できる研究はほぼすべて米国のもので、日本の国際結婚を調べたものではありません。 数字は移りませんが、仕組みのほうは移る可能性があります。

満足度は同程度。 出自をまたぐカップルと同じ出自のカップルを、満足度・コミットメント・葛藤の頻度で比較した研究は、おおむね意味のある差を見つけていません。差が出るときも小さく、方向が一定しない。

安定性の結果は混ざっています。 解消率がやや高いとする分析はありますが、結婚年齢、学歴、収入、地域で強く交絡しています。ローゼンフェルドの同類婚の研究が指摘したのは、社会的な境界を一つ越える人は他の境界も越えやすく、その結果として親族の支援から遠いところにいることが多いということでした。

そして実際に出てくる負荷は、外から来ます。 レムラーとアグニューの「周縁化された関係」の研究がこの話題では最も直接に効きます。周囲から承認されていないと感じることが、コミットメントの低下を予測する。 仕組みは「二人の意見が合わない」ことではありません。他人の反応を処理し続けるコストのほうです。

持ち帰る価値があるのはこの一点です。出自をまたぐカップルは、別の種類の問題を抱えているのではない。同じ問題に加えて、関係の外から来る荷物を一つ多く運んでいます。

その荷物の中身

日本で実際に形を取るものを並べると、こうなります。

  • 親の反対。 最も重く、最も早く来ます。結婚と、子どもが生まれる時期に集中するのも同じ
  • 手続きと在留資格。 前述のとおり、負荷が片側に寄る
  • 視線と質問。 見られる、どこで出会ったのか毎回訊かれる、二人で歩いていて連れだと思われない、片方にだけ英語で話しかけられる
  • 偏りに気づかれないこと。 周縁化されている側の負担が大きく、もう一方はそれが起きていること自体を見ていない。これは出自をまたぐカップルの「内側」で起きる争いの最大の供給源で、しかも二人のあいだの出自の問題ではありません。片方が一人で吸収させられているかどうかの問題です
  • 文化と宗教の違い。 どの二つの家庭のあいだにもある種類の違いが、出自のせいにされる
  • 子どものこと。 言語、名前、国籍の選択、どちらの親も経験していない立場をどう支えるか。呼び方についても、「ハーフ」という語をどう扱うかは今も揺れていて、家庭ごとに決めることになります

どれも関係が失敗している証拠ではありません。関係が置かれている条件です。

効くとされていること

親への対応は、その親の子がやる。 反対に直面したカップルの話で最も一貫しているのがこれです。反対している側の親と話すのは、その家の子のほう。そこにいない人間が、いない場所で弁護されるのは最悪の形になります。二人の問題として扱われた反対は収まりやすく、片方が一人で吸収した反対は収まりません。

見えていないほうを言葉にする。 視線や質問を受けていない側は、それが起きたことを知りません。言うことは責めることではなく、言わないでいることが、恨みが溜まる場所です。

子どもの件を、決める時点より前に決める。 言語、信仰、名前、住む場所、国籍の選択。重い話に見えるので先送りされますが、中身はごく普通のすり合わせです。重国籍になった子には国籍を選択する制度があり、運用も含めて早めに確認しておく価値があります。

文化の話と出自の話を分ける。 実際に揉めている中身の多くは —— 正月をどちらの家で過ごすか、親に何をどこまで負っているか、はっきり言うことが失礼かどうか —— 文化の違いであって、出自の異なるどの二家族のあいだにも起きます。分けて扱うと両方が話しやすくなります。ここは結局揉めたあとに修復できるかの問題で、自分がどう揉めるかを知っているほうが早く済みます。

なお、承認されにくい関係が同じ仕組みで負荷を受けることは、年の差のある関係でも確認されています。つらさの出どころが関係の中にないという点は、共通しています。

出典

  • · Livingston, G., Brown, A. (2017). Intermarriage in the U.S. 50 Years After Loving v. Virginia. Pew Research Center.
  • · Lehmiller, J. J., Agnew, C. R. (2006). Marginalized relationships: the impact of social disapproval on romantic relationship commitment. Personality and Social Psychology Bulletin.
  • · Wu, K., Chen, C., Greenberger, E. (2018). Nonromantic and romantic interracial relationships. Journal of Social and Personal Relationships.
  • · Rosenfeld, M. J. (2008). Racial, educational and religious endogamy in the United States. Social Forces.

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