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友達以上恋人未満

告白の前にある、名前のない期間。なぜあれほど消耗するのか、何がはっきりさせ、何がさせないのか。

関係の科学

友達以上恋人未満とは、友達と呼ぶには近すぎて、恋人と呼ぶには何も決まっていない関係のことです。二人で出かける、連絡は毎日ある、体の関係があることもある —— それでも、他の人と会っていいのかどうかは誰も口にしていない。

英語圏にはこの状態を指す situationship という語がありますが、事情は同じではありません。向こうには関係の始まりを区切る儀式がなく、付き合っているかどうかは何となく決まっていく。日本には告白があります。区切りが存在する分、区切る前の期間だけが宙に浮く。つらさの正体は「区切りが無い」ことではなく、「区切りがあるのに、それがいつ来るかわからない」ことです。

なぜこれほど消耗するのか

曖昧さそのものより、曖昧さを一人で抱えていることが効いています。

確認する行為に罰がある。 「私たちって何?」と聞けば関係が終わるかもしれない。聞かなければ現状は続く。だから聞かないほうが合理的に見えて、聞かないかぎり不安は減らない。この構造がある限り、時間が経つほど聞きにくくなります。

相手の一つの行動に、重さが乗りすぎる。 返信が遅い、予定が合わない —— 付き合っていれば「忙しいんだろう」で終わる出来事が、宙ぶらりんの状態では「気持ちが引いたのでは」の証拠として読まれます。解釈する材料が足りないので、少ない材料に体重をかけるしかない。

期待の差が見えない。 二人が同じ状態にいるとは限りません。片方は告白のタイミングを計っていて、もう片方はこのままで十分だと思っている。どちらも嘘はついていないのに、話していないので差に気づかない。

愛着スタイルで言えば、不安型の人はこの状態で最も消耗し、回避型の人は逆にこの状態を居心地よく感じます。相性の悪い組み合わせほど関係が長く宙に浮くのは、片方にとってそれが快適だからです。

キープ・都合のいい関係との違い

友達以上恋人未満と、いわゆるキープは別のものです。区別する基準は気持ちの強さではなく、関係が誰の都合で動いているかです。

  • 予定の決まり方 —— いつも相手の空いた日に合わせているなら、それは対等な曖昧さではありません。
  • 人前に出るかどうか —— 友人にも家族にも紹介される気配がない状態が続くのは、意図的な線引きであることが多い。
  • 話題にできるか —— 関係の話を持ち出したときにはぐらかされるのが毎回なら、はぐらかしているのではなく答えています。

そして厳しいことを一つ。都合のいい関係の多くは、都合よく扱われている側にも自覚があります。 わかっていて続けているのは、はっきりさせて失うより、曖昧なまま持っているほうがましだと判断しているからです。それ自体は責められることではありませんが、「相手がずるい」と考えている限り、選んでいるのが自分だという部分が見えなくなります。

告白という区切りが、効くところと効かないところ

告白には実際に利点があります。関係の状態が一日で確定し、両者の認識がそろう。滑り込むのではなく決めるという形が制度になっている、と言い換えることもできます。同棲研究で繰り返し確認されているのは、なんとなく移行した関係より、明示的に決めた関係のほうが後の満足度が高いということで、告白はその「決める」を最初から強制する仕組みです(同棲の項も参照)。

ただし、告白が確定させるのは交際しているかどうかだけです。ここを取り違えると後で揉めます。

告白で決まらないもの:他の人と会わないかどうか、連絡の頻度、どこまで人に言うか、この先どうするつもりか。付き合い始めて数か月後の「そんなつもりじゃなかった」の多くは、告白で全部決まったと片方が思っていたことから来ています。

もう一つ。告白のタイミングに正解はありません。 検索してよく出てくる「三回目のデートまでに」のような目安に根拠はない。研究が支えているのはもっと弱く、もっと使える話 —— 決めた関係は、いつ決めたかにかかわらず、滑り込んだ関係より良い経過をたどります。

切り出すときに効くこと

聞き方で結果が変わる部分は、実はそれほど大きくありません。それでも、答えやすさは変えられます。

未来ではなく現在を聞く。 「他の人とも会ってる?」は答えられる質問です。「私たちってこの先どうなるの?」は予測を求めているので、はぐらかす余地を先に渡してしまいます。

自分の側から先に言う。 「他の人と会うのをやめたいと思ってる。そっちはどう?」は、相手に応答する対象を渡します。相手に先に表明させて、自分の答えをそれ次第にするのは、会話ではなく交渉です。

終わる可能性を受け入れたうえで、それでも聞く。 聞けないのは、答えが「ノー」かもしれないからです。ただ、その質問で終わる関係は元々終わる関係でした。質問が変えるのは結末ではなく、それを知る時期だけです。

最後に一つ。答えを保留されるのも答えです。 一度なら考える時間かもしれませんが、二度三度と持ち帰られるなら、決められないという状態が続いているということで、それはあなたが待つかどうかを決める材料になります。

出典

  • · Stanley, S. M., Rhoades, G. K., Markman, H. J. (2006). Sliding versus deciding: Inertia and the premarital cohabitation effect. Family Relations.
  • · Knee, C. R., et al. (2003). Implicit theories of relationships. Personality and Social Psychology Bulletin.
  • · Joel, S., et al. (2020). Machine learning uncovers the most robust self-report predictors of relationship quality. PNAS.

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