失恋直後の恋愛(リバウンド)
すぐ次に行った人のほうが立ち直りがよかった、という研究がある。通説とデータのずれと、危ないのが時期ではない理由。
関係の科学
失恋直後の恋愛とは、前の関係が終わってまもなく、まだ整理がついていないとされる時期に始まる関係のことです。英語では rebound relationship と呼ばれ、そのまま「リバウンド」と訳されることがありますが、日本語のリバウンドはダイエットの揺り戻しの語なので、この意味ではあまり通じません。以下では失恋直後の恋愛と書きます。
通説は二種類あって、向きが逆です。英語圏では「そういう関係は続かないし、新しい相手に失礼だ」。日本語圏では「恋は上書き保存」。研究の結果は、後者に近いところに落ちます。
追跡研究が見つけたこと
ブランボーとフレイリーの研究が一番直接的な検証で、別れた人たちを追いかけて、次の関係に入るところまで見ています。
早く次の関係を始めた人ほど、自尊心が高く、自分が求められているという感覚が強く、元パートナーへの愛着が薄いと報告しました。新しい関係の満足度は低くありませんでしたし、続いた期間も短くありませんでした。
スピールマンらはもう少し限定的なことを見つけています。とくに不安傾向の高い愛着スタイルの人にとっては、新しい相手に注意を向けることが、元パートナーを手放す有効な方法の一つでした。新しい愛着が、時間だけではやってくれなかった仕事をしていた形です。
スバラとエメリーの、別れのあとの感情の経過についての研究が理由を埋めます。回復は、先に払い終えなければならない一定量の悲しみではありません。自分の輪郭と、自分が求められているという感覚を立て直す作業のほうが大きく、新しい関係はその両方を供給しうるものの一つです。
どれも「早いほうが最適だ」とは言っていません。言っているのは、断言のほうの通説 —— 本質的に不健全で、相手に不当だ —— がデータに触れると保たないということです。標本は北米の学生とオンラインで募集された成人が中心で、失恋のあとに周囲がどう扱うかは文化で違うので、そこは差し引いてください。
「恋は上書き保存」の、当たっている部分とそうでない部分
日本語の通説はこの俗説に集約されます。恋は上書き保存、というやつです。方向としては、研究が見ているものと大きく外れていません。新しい対象に注意が向くことは、実際に未練を薄くする働きをしている。
外れているのは、そこにくっついている二つです。
一つ、性別の決めつけ。 上書き保存が女性で、名前をつけて保存が男性、という対句の部分にデータはありません。ブランボーとフレイリーが見ていたのは移った速さと回復であって、性別の型ではない。
二つ、待つこと自体が処理になるという前提のほう。日本語には「けじめ」や、一人で落ち着く期間を尊ぶ言い方が揃っていて、待つことは無条件に誠実な手続きとして扱われがちです。ところが空けた時間が何に使われるかは人によります。同じ場面を繰り返し再生するのに使われた三か月は、反芻であって処理ではありません。時間そのものが仕事をするわけではない、というのがこの領域で一番よく外される点です。
危ないのは時期ではない
何週間経ったかではありません。実際に問題を予測するのは三つで、どれも暦とは関係がありません。
相手といるのではなく、相手を使っている形になっている。 元パートナーに何かを示すため、あるいは誰もいない部屋を避けるための関係は、そのうち表に出ます。たいていは「自分が見られているのか分からない」と感じている相手の側から。判定は始めた時期ではなく、前の人を持ち出さずに、この人の何が好きなのかを言えるかです。
比較が実況になっている。 多少の比較は避けられません。新しい人が前の人と常時採点され続けている関係は別のもので、やっている本人が気づくより早く外から見えます。
隠していること。 直近の大きな別れを伝えないのは、まだそれが自分の振る舞いを決めているあいだは、相手から必要な情報を取り上げていることになります。この近辺で唯一の倫理の問題がここで、これも時期の問題ではありません。 隠すことが関係に何をするかは秘密の関係のほうにあります。
自分がその「次の人」だったら
居心地は悪いですが、自動的に悪い立場ではありません。効くのは、関係が自分の上に建てられているのか、穴の周りに建てられているのかという区別です。
兆候を探すより直接聞けることがあります。いつだったのか、どのくらいの関係だったのか、いまも連絡があるのか。そのうえで、もっと単純なものを見る。この人は自分自身に興味を持っているか。 本当に穴を埋めている最中の人は、温かくて、よく気がついて、そしてこちらのことをほとんど聞かないことがあります。関係の役割が、誰かを知ることではなく、時間を埋めることになっているからです。
逆向きの注意も要ります。「それリバウンドでしょ」は、正確に使われるより非難として使われることのほうが多い言葉です。 別れの三か月後に始まってうまくいっている関係が、暦の都合で失敗する義務を負うことはありません。そのうちのいくらかは、単に次の関係です。
出典
- · Brumbaugh, C. C., Fraley, R. C. (2015). Too fast, too soon? An empirical investigation into rebound relationships. Journal of Social and Personal Relationships.
- · Spielmann, S. S., MacDonald, G., Wilson, A. E. (2009). On the rebound: focusing on someone new helps anxiously attached individuals let go of ex-partners. Personality and Social Psychology Bulletin.
- · Sbarra, D. A., Emery, R. E. (2005). The emotional sequelae of nonmarital relationship dissolution. Personal Relationships.